私は元消防士。防災の日は消防にとっても大切な日です。なぜなら、防災意識を高めてもらうために様々なイベントを企画するからです。よく行われているのが「防災フェスタ」ですね。そういった経験もあやかって、防災の日について記事にまとめました。
こんな疑問を解決します。
- 防災の日ってなぜ9月1日に行われているのですか?防災の日に行われているイベントってどういうものがあるかまで知りたい!
大規模な災害が発生した直後は、防災に対する危機意識を強く抱いていても、時間の経過とともに「防災への準備」を疎かにしてしまうことが多いのではないでしょうか。東日本大震災、新潟県中越地震などを経験した後も、備蓄品の補充が完了していない人が多いはずです。防災の日(9月1日)は、そんな方々に「防災」の意識付けさせるいい機会になります。忘れがちな「災害の怖さ」、「災害に備える大切さ」を改めて確認し、防災意識を強めましょう!
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【防災の日の由来】4つあり
防災の日はなぜ9月1日なの?と疑問に思う方に対しての回答です。「関東大震災」が最も大きなきっかけとなっていますが、様々な要因が関係しています。
- 関東大震災が発生した日
- 台風シーズンを迎える時期であること
- 「二百十日」にあたる時期
- 1959年9月26日 「伊勢湾台風」によってたくさんの被害が発生した月であること
1つ1つ解説していきましょう。
関東大震災
1923年に起きた大地震で、関東圏に大被害をもたらしました。
二百十日
立春から数えて210日の日を指します。現在の暦では9月1日前後となります。この時期は、稲作の被害が台風によって受けやすい厄日とされています。
伊勢湾台風
明治以降に日本を通過した台風の中で、もっとも犠牲者を出しました。台風の勢力自体は、それほど強くなかったものの高波と低平地エリアの堤防が決壊したことが多くの犠牲者を出した原因と言われています。
上記のような自然災害で、「大きな被害が発生した月であること」、「自然災害の発生しやすい時期であること」から、防災意識を強化する狙い「防災の日」にはあります。昭和57年からは防災週間(9月1日から1週間)を制定しました。防災週間には、防災訓練や防災にまつわる行事を各行政機関と協力して行われるようになっています。
そもそも自然災害って?
自然災害とは、どういうものがあるのかというと、火災、津波、洪水、土砂災害、火山の噴火、雪崩などが挙げられます。
津波
地震のあとにきます。東日本大震災をイメージしていただけると理解しやすいです。津波が発生すると、家を流されてしまったり、大切な財産を多く失います。一度、浸水してしまうと水や電気、ガスが使えなくなります。
台風
台風が発生すると、たくさんの雨と強い風をもたらします。たくさんの雨は川の水位を上昇させ、堤防を決壊させる危険性を秘め、土砂崩れを引き起こすこともあります。強い風は、物を飛ばし、窓ガラスなどを破壊します。強力な風の場合、車を吹き飛ばすこともあるほどです。台風で落雷が起きると、停電して電気が使えなくなるなど私達の生活に多大な影響を及ぼします。
防災の日に行われているイベント事のまとめ
防災の日や防災週間に行われているイベントはさまざまです。具体的に行われていることを1つずつ解説します。
防災イベント
防災の日、防災週間では、防災に対するセミナーや備蓄品の展示・販売など催し物が各地域で開催されています。消防士の時の経験ですが、防災週間のタイミングで大規模な防災フェスタが開催されるので、展示するための消防車や救急車、救助工作車を会場までよく持って行きました。起震車体験も、同時に行い「地震の怖さ」を体験してもらいましたね。
防災フェスタは、多くの人が集まるので、屋台を出店することもあり、大変にぎやかです。
避難訓練
自治会、地方の団体、学校、会社内で自発的に防災訓練を防災の日、防災週間に行っているところが多いです。地域性があるので、津波、地震、台風、積雪、火山など特性に合った避難訓練を実施しています。被災するタイミングは「屋内」、「屋外」、「高層マンション内」、「都内中心地」、「自動車運転中」など、どの時にくるかわかりません。それぞれのシーンに合わせた避難訓練を指導するところもあります。
その他、住宅内の防災対策が正確に行われているのか、備蓄品や防災グッズの準備状況を啓蒙する講演も行わるのが防災の日、防災週間です。
【おすすめ】「防災の日」の過ごし方
防災の日の過ごし方のおすすめを紹介します。
災害について考える
台風や地震によって引き起こされる火災、洪水、土砂災害など多くの自然災害が発生します。想像したくないことかもしれませんが、年に1度くらい考えてみていいのではないでしょうか?いざ起きた時に正しい行動が起こせるよう準備するためにも。家族や友達と、「知っている防災の知識を話し合ってみる」、「どんな災害があって、災害が発生すると、どういうことが起こるのか」なども、この機会に話してみるといいでしょう。
避難方法を確認する機会に
火災、台風、地震などの時で、それぞれ避難方法も異なります。どういう方法をとれば安全に避難できるのかを検討し、訓練しておくといいでしょう。イメージしやすいのは、火災や地震時です。具体例を挙げて話すと、まずは火災から。
火災
- ハンカチで口を覆うのはどうして?
ハンカチで口を覆うのは、火災で発生した煙を吸いすぎないためです。煙の中には一酸化炭素が含まれていて、吸いすぎると意識を失い、呼吸ができなくなってしまいます。ですので、ハンカチで口を覆うことを指導しているのです。 - 火災が発生した屋内ではどうして低い姿勢をとるの?
火災で発生した煙は屋内でも上に滞留します。つまり低い姿勢をとれば煙にまかれずに済みます。低い姿勢を保ちながら、ハンカチで口を覆い避難するのが理想です。
次に地震のときの避難方法についてです。
地震
- 机の下に隠れるのはどうして?
地震体験をしてもらうと、よく理解できると思いますが、地震での揺れは凄まじいです。棚自体が倒れてくるなど、身の危険を感じるでしょう。そのため、倒壊してくる家具などから自分の身を守るために机の下に隠れるのです。 - 上履きや靴を履いて避難するのはどうして?
地震が発生すると物が落下するなどして、窓ガラスが割れてしまいます。割れて破損した破片などで避難中に足をケガすることが非常に多いため、上履きや靴を履いて移動するように指導しています。
自分の住む地域のハザードマップを確認する
ハザードマップは各自治体のホームページや、ハザードマップポータルサイト(国土交通省)では、日本全国の津波や土砂災害、洪水といった災害危険のある地域を簡単に調べることができます。防災の日や防災週間に一度、確認して身近な危険を知っておきましょう。
地域の避難場所や避難ルートを確認する
地域の避難場所や避難ルートの確認は、家族内でできていますか?もし、できていないようでしたら、是非この機会に確認を怠らずに!下記の記事では、避難場所と避難所の確認方法と、避難所と避難場所の違いについて詳しく解説しています。
防災グッズの準備は万全?
防災グッズの準備は万全ですか?大災害が発生した直後は、防災グッズを充実させないと行けない危機感を持つのですが、時が経つにつれて、後回しに……その行動に待ったをかけるべく、防災の日、防災週間で一度、見直してみましょう。
- 関連記事防災グッズの点検すべき項目一覧
家族内で災害が発生したときの連絡手段や集合場所を確認しておく
家族内で災害が発生したときの連絡手段、集合場所は確認していますか?もし、済んでいないようでしたら、防災の日、防災週間に確認しておくことをおすすめします。家族内の連絡手段については、下記の記事内で詳しく解説しています。
団体や会社では何か開催してるの?
9月1日に避難訓練を行う団体や会社も多いです。私の知りたいに保育士の方がいるので防災の日や防災週間に実際、行っていることについて話を聞きました。子どもを預かる保育所の一例に挙げると、「保護者との災害時の対応について話し合い」と「保育士間での避難ルートや行動マニュアルの確認」などを行っているそうです。
保護者との災害時の対応について話し合いを行っています。
具体的な内容を挙げると、
- 連絡網を利用した保護者への伝達訓練
- 親御さんの職場から保育園までの災害時に考えられる交通手段の迎え
- 保育園内の避難訓練への参加
それ以外にも、保育士間での避難ルートや行動マニュアルも確認しているようです。
- 優先するべき行動は何か?優先順位をつけて避難指示や安全なルートでの避難方法を職員間で確認
- 消火器や避難器具の使用方法、設置場所などの確認
- 発災時に怪我人が出たときの通報方法や応急手当方法の確認
いざ自然災害が発生した時、冷静に行動できる人の方が少ないはず。ましてや小さい子供を預かっている保育士さんは、アクシデントの方が多いはずです。だからこそ、防災の日をきっかけに「防災意識を高める」努力は必要だと話していました。
防災の日に行うイベントを成功させるチェックポイント
防災の日に行うイベントを成功させるチェックポイントを挙げておきます。これを知ることで、開催側もイベントに参加する側でも「防災イベント」を有意義なものにできます。
- テーマを決める
- 災害を体験できるイベント内容にする
- 災害発生後を想定したイベントにする
1つずつ解説します。
テーマを決める
例えば、「火災の避難、対処法について」、「被災した時の具体的な行動と乗り越え方」、「地震が発生する前に行っておくこと・地震が発生した後に取るべき行動」など、目的を決めておくと脱線せず、何を教えたかったのかうやむやにならずに済みます。
災害を体験できるイベント内容にする
ただ、設けられた席に座り話を聞くだけの勉強会形式のイベントも確かにありますが、実際に行動してみることでイメージが湧きます。例えば、「起震車(地震体験車)に乗って、震度5以上の地震がどれほどの揺れなのか体験してみる」などです。地震の怖さは、話を聞くだけではイメージしづらいはず。
「座っていられない」
「棚が倒れてくるほどの揺れだったわ」
「机の下に隠れることの大切さを実感できた」
上記のようなことを感じられるようになるのは、実体験があるからこそです。ですので、体験が7割、座学が3割くらいにした方が、実際の行動力につながりやすいでしょう。
災害発生後を想定したイベントにする
防災に関してのイベントを成功させる秘訣の最後は、「災害発生後を想定したイベントにする」です。
具体例をあげると、
- 大地震が発生して、避難場所に避難してきました。そこで、限られた食料を使い炊き出しを実際に行う
- 訓練用消火器を使って、火が発生した模擬家屋に向けて消火活動する
- 火災が発生した室内を想定して、煙を発生させたテント内を通過させる
などです。
どういう危険や困難があるのかを体験してもらいましょう。
まとめ:防災意識を見直すため「防災の日」を良いきっかけに
「防災の日」は、わたし達、日本人が過去に経験してきた自然災害の歴史から作られたものです。防災意識を見直すため「防災の日」は絶好の機会になりますので、まずは防災に関するイベントに参加することから初めてみてはいかがでしょうか。